消費税への提言をするためにまずは仕組みのおさらいから。
〜blog『relax&focus』より転載〜
税の基本
税は、国(地方自治体)が
権限に基づき徴収するものです。
であれば、徴収される側(納税者)にとって
理解しやすいものでなければなりませんし、
そうなるように努める義務が課税権者側には
存在します。
つまり、納税者にとってわかりやすい制度で
公平性を保つことが大原則です。
そのうえで政策的配慮が成り立ちます。
政策的配慮が先走り、
仕組みが複雑化することは
本末転倒です。(←今まさにここ)
消費税の仕組み
消費税は間接税
消費税については
「間接税」という形を
採っています。
所得税や法人税、相続税のように
税を負担する人が直接国(税務署)に
納めるのが「直接税」です。
一方、消費税に代表される「間接税」は
税の負担者が直接国(税務署)に
納めることはありません。
100万円の買い物をした人が
わざわざ税務署に足を運んで
8万円を納めに来るなんていう仕組みが
成り立つはずがないことは明らかです。
そこで、モノやサービスを提供した事業者が
負担者である消費者から消費税を預かって、
それを国(税務署)に納めるという形を
採用しています。
ですので、負担者は消費者ですが
納税者は事業者というわけです。
多段階累積控除
この事業者における消費税の納税ですが、
お客さんから預かった消費税を
そのまま納付するわけではありません。
それだと、国が税金を二重三重で
徴収することになるおそれがあります。
どういうことか、具体的な事例で
順をおって見ていきます。
【生産者 → 卸売業者 → 小売業者 → 消費者】
とモノが流れていくとします。
これらの取引において、
それぞれ消費税が
上乗せされています。
【生産者 → 卸売業者】
10万円(税抜)で取引
卸売業者:8,000円の消費税を支払う
【卸売業者 → 小売業者】
20万円(税抜)で取引
小売業者:16,000円の消費税を支払う
【小売業者 → 消費者】
30万円(税抜)で取引
消費者 :24,000円の消費税を支払う
このようになります。
モノを消費するのは最後の『消費者』です。
国が課税したいのはこの『消費者』で
税額は24,000円です。
生産者、卸売業者、小売業者は
流通させただけで自身が消費して
いるわけではないので、
この人たちが自己負担することは
ありません。
ただし、これらの事業者は
“預かった消費税”を納める
義務があります。
ここで、それぞれの事業者が
“預かった消費税”をそのまま
納めるとしましょう。
すると、
卸売業者:16,000円
生産者 : 8,000円
合計で48,000円の消費税が
国に納められてしまいます。
消費者が負担した24,000円が
国に届くのはよしとして、
それ以外の24,000円はいったい
どこから出てきたのか。
それは、物流過程で発生しています。
販売相手(小売業者)が
それをさらに販売するか
自身で消費するかは
卸売業者からは
見極められないため、
モノやサービスを提供する際には
消費税を預かることが必要です。
しかし、その販売先(小売業者)が
さらに消費者に販売した場合には
小売業者も消費者も消費税を
購入元に支払うことになります。
これをすべて国に納めると
モノやサービスの消費に着目して
課税する消費税が、それ以外の
流通段階でも課税していることに
なります。
要は、消費者が負担した税額以上の金額を
国が徴収することになります。
そして、それは“消費”していない
流通間の事業者の負担と
なってしまいます。
これを防ぐために導入されているのが
「多段階累積控除」という仕組みです。
この仕組みは
預かった消費税をそのまま納めるのではなく、
仕入(購入)時に支払った消費税があるなら
それを差し引いて納めてください
というもの。
これによって、先ほどの例であれば、
【小売業者】
支払った消費税:16,000円
納付する消費税: 8,000円
【卸売業者】
支払った消費税: 8,000円
納付する消費税: 8,000円
【生産者】
支払った消費税: 0円
納付する消費税: 8,000円
となり、3事業者合計で24,000円の
消費税を納税することとなります。
これによって、消費者が負担した24,000円が
正しく国に届けられるという仕組みです。
この多段階累積控除の目的は
“二重課税の排除”です。
そのために、“支払った消費税”を
控除するという形を採っています。
現行消費税の問題点
わたしが考える現行(将来の)消費税の
問題点は以下のとおりです。
・納税者が負担した消費税が国に納められていない
・“非課税”によって支払った消費税が控除できない
・インボイス方式の導入
・軽減税率適用による現場の混乱
・金の売買が課税取引
これらを解決するためにはどうすればいいか、
次回において私案を掲げていきます。