少額の売上が多数発生する業種には有利な計算方法が認められています。

〜blog『relax&focus』より転載〜

消費税の負担と納付の仕組み

消費税は消費者が負担する税金です。

その負担は買ったお店に支払う形で
実行されます。

消費者に販売した事業者は、
販売時に預かった消費税を
国(税務署)に納付します。

これが極限までシンプルにした
消費税の課税と納付の仕組みです。

この場合の「預かった消費税」は
お客さんから受け取った税込価格に
108分の100を乗じることで計算した
「課税標準額」に8%を乗じて計算し、
それを税務署に納付します。

預かった消費税にある2つの計算方法

上述の方法が原則的な計算方法です。

ここでは“割戻計算”と呼びます。

しかし、経過措置ということで
特別な計算方法が認められています。

ここでは“積上計算”と呼びます。

この積上計算を行うには
クリアしなければいけない
要件があります。

それが次の2つ。

①一領収単位ごとに本体価格と消費税額を区分していること
②一領収単位ごとの消費税額は1円未満の端数処理した後の金額であること

つまり、領収書において

本体価格と消費税が区分して記載されていて、
かつ、
その消費税額は販売商品の税込価格の合計額に
108分の8を乗じて端数処理した金額であること

が要件となっています。

この場合には、“積上計算”を行うことが
認められています。

逆にいえば、税込金額で〇〇円と書かれた
領収書しか発行しないのであれば
この“積上計算”は使えません。

では、円未満の端数を切り捨てるとして、
切捨が生じるのはどんな場合でしょう。

それは、割り切れない場合です。

そして、その処理回数が多数であればあるほど
“割戻計算”(1年間の税込金額を合計して108分の8)よりも
“積上計算”(領収ごとに端数を切り捨てた消費税を集計)の方が
有利になります。

実際に数字を入れて考えてみます。

1ヶ月の売上が10,800,000円だったとします。

“割戻計算”であれば、
預かった消費税は800,000円です。

この売上の中身が100円のものが
108,000件売れたとします。

領収書に100円(本体価格93円と消費税7円)と
記載した場合、“積上計算”が使えます。

<割戻計算>

預かった消費税は800,000円となります。

<積上計算>

預かった消費税は756,000円となります。

1ヶ月で44,000円、
12ヶ月で528,000円の
ちがいが出てきます。

どちらで申告したとしても
法律上正しい計算です。

だったら、安い方を選びたいです。

積上計算に適した業種

この積上計算で納付額を計算して有利になるのは

・レシート等に本体価格と消費税が区分して明示される
・比較的小さい単価で販売回数が多数になる

といった特徴のある業種です。

そして、レジシステムから
領収書に記載された本体価格と
消費税額を集計できることも
“積上計算”をする際には必要です。

これらを勘案して最も適していると
考えられるのは「コンビニ」です。

単価が低め
販売回数は多い

そして、売上のボリュームは大きいです。

セブンイレブンで2億円強、
他の大手は1.5億円くらい。

ユニー・ファミリーマートの
アニュアルレポートにある
ファクトシートから
グラフ化してみました。

<ファクトシート>より

<コンビニ大手の1店舗あたり売上高比較>

やっぱりセブンイレブンの収益力は
際立ってますね。