所得税の源泉徴収とは

仕組み

源泉徴収とは、給料や報酬を支払う側が
予め所得税を天引きしておいて
国に納付する仕組みです。

例えば、ライターの方が
自身が行った業務の対価として
クライアントに原稿料を請求すると
この制度が発動します。

請求すると

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このように支払われます。

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この、支払元(企業)が
報酬請求額の一部を天引きして
それを国に納める仕組みを
源泉徴収制度といいます。

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なんでこんなことをするかというと、
モグリのフリーランスが無申告によって
逃げ得にならないようにするためです。

支払い元にあらかじめ天引き・納付させることで
国としては取りっぱぐれを防いでいます。

制度の対象者

この源泉徴収制度の対象者は次のとおりです。

①原稿料や講演料(デザイン料、作曲料、指導料など含む)
②税理士報酬、司法書士報酬など
③社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
④プロスポーツ選手等に支払う報酬
⑤芸能人等に支払う報酬
⑥ホステス等に支払う報酬
⑦プロスポーツ選手の契約金
⑧広告宣伝のため等の賞金

詳細は国税庁HPにも記載してあります。

気になる方はこちらをご覧ください。

源泉徴収額の算定方法

天引きされる金額の算定方法は
法律で決まっています。

ここではフリーのライターさんを例に
計算してみます。

計算式はとてもシンプル。

報酬額が100万円以下の場合には

支払金額(A) × 10.21%

です。

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100万円を超える場合には

(支払金額(A)- 100万円) × 20.42% +102,100円

となります。

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支払金額(A)は原則として税込金額となりますが、
請求書において報酬・料金額と消費税額が明確に
区分されていれば、税抜金額を(A)としてOKです。

108,000円を税込対価として明示しておけば
税抜金額は100,000円であることはわかります。

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この場合、

100,000円 × 10.21% = 10,210円

が天引きされて、97,790円を受け取ります。

そして、支払元は天引きした10,210円を
税務署に納付します。

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この10,210円の位置づけですが、
これはあくまでもフリーランスの方が
負担した税金です。

支払元は108,000円を負担しました。

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そのうち97,790円がフリーランスに
届きました。

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残りはどこにいったか。
そう、税務署に納められました。

10,210円はフリーランスの納税です。

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年に一回の所得税の確定申告をする際に
この天引きされた税金は『前納額』として
力を発揮します。

たとえば、源泉徴収税額(前納額)が10,210円あったとします。

そのフリーランスの方の確定申告の結果、今年の税額が
30,300円だったとします。

この場合、3月15日までに納付すべき税額は
20,090円で済みます。

10,210円を前納しているからです。

したがって、
この前納額である源泉徴収税額は
フリーランスの方にとって
めちゃくちゃ大切な金額なんです。

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知らなかったでは大損する可能性もあります。

会社員という立場であれば要らない知識ですが、
個人事業主として活動するためには必須の知識です。

細かいところは別にいいのですが、
こういった仕組みのうえで
お金が回っているということは
知っておかないといけません。

請求書作成の際の留意点

消費税額を明記する

請求の際にきちんと区分して明記することで
天引きされる金額を消費税分だけ
(わずかですが)減らすことができます。

この件にかかわらず、
報酬・料金とそれにかかる消費税の額は
区分して明記しておきましょう。

税込金額一本で請求していると、
消費税率が上がるたびに
値上げ交渉をする必要が
出てくる可能性があります。

そうしなければ“実質値下げ”に
しまうからです。

請求書には、業務対価としての料金と
それにかかる消費税を明記するように
オススメしています。

源泉徴収税額も明記する

源泉徴収税額はこちらで計算して
請求書に明記しましょう。

そうすれば、先方での手間は省けますし、
こちらもいくら天引きされたかを
差額でチェックする手間が省けます。

また、きちんと計算した請求書を出すことで
先方からの信頼も高まります。

実際に支払い元の声として
「源泉徴収額くらい書いてこい!」
というものもしばしば聞きます。

そうした声をあげる人が
実際にいらっしゃるわけでして、
ムダに評価を下げないためにも
ちょっとした気配りの一環として
源泉徴収税額は自分で計算して
請求書に明記しておきましょう。