売上が1,000万円を超えたら
フリーランスとして活動を始めて、日本での売上が
1,000万円を超えると消費税の問題が生じます。
この場合、2つの届出手続きが必要となります。
厳密にいうと、1つは必須でもう1つは任意ですが。
必須の届出は
「消費税課税事業者届出書」
といいます。
任意の届出は
「消費税簡易課税制度選択届出書」
といいます。
こちらは“だいたいの場合は出した方が納税額が安く済む”ので
届出が想定される書類です。
以下、2つの届出書の記載について
案内します。
消費税課税事業者届出書<必須>
消費税が課税される売上が1,000万円を超えると
お客さんから受け取った消費税を
国(税務署)に納める必要が出てきます。
この立場のことを「課税事業者」といいます。
1,000万円を超える場合には
「課税事業者」となるというもの
ということは、2018年にはじめて
売上が1,000万円を超えたとすると、
「課税事業者」になるのは2020年から、
ということになります。
この場合、「消費税課税事業者届出書」は
2019年中に出すことが求められています。
したがって、
2019年中に「課税事業者届出書」を提出
2020年から「課税事業者」という立場になる
こんな流れです。
「届出書を出さなかったら課税事業者にならなくて済む?」
そんなことはありません。
届出書を出さなかったとしても、2020年からは「課税事業者」です。
2020年になってから
「え?おれ課税事業者なん?知らなかったー?」
なんてことのないように2018年の確定申告が
済んだら税務署から封筒が届きます。
「あなた、2020年から課税事業者だよね?」って。
それに対して、「承知しました」とその事実を
事業者が認識したことを確認しておきたい
税務署側の都合による届出です。
<様式>
PDFファイルのダウンロードはこちらからできます。
<記入内容>
※留意事項
個人事業者であるフリーランスの方は
1月から12月の1年間で売上を集計します。
その際に、たとえば開業した時期が5月だった
からといって、売上を12/8する必要はありません。
(法人の場合にはこれが必要になります)
課税対象となる売上と
課税されない売上があります。
通常の売上は課税対象です。
課税されない売上の代表例は
・土地の貸付
・住宅の貸付
・預金や貸付金の利息
・身体障害者用物品の販売
・保険金や賠償金
です。
こうしたものを含めた売上(収入)が総売上高、
こうしたものを除いた売上(収入)が課税売上高、
と呼ばれます。
消費税簡易課税制度選択届出書<任意>
こちらは、提出するかどうかは
検討する必要があります。
これを提出することで何が起きるかというと、
消費税の申告を“原則課税”ではなく
“簡易課税”という簡易な方式で計算して
行うことを意思表示したことになります。
これを提出すると、今後の消費税の申告は
“簡易課税”で計算することが強制されます。
(ただし、2年前の売上が5,000万円を超える
場合には、これを提出していても“原則課税”)
ここが最大のポイントです。
有利な方を事後的に選択できません。
自分自身が“簡易課税”によることが
得なのかどうかを推測して
それを信じて手続きを行います。
フリーランスの方の業務内容によりますが、
物販ではなくサービス業務であれば
第5種という区分に属します。
<参考サイト>
この場合、売上で預かった消費税の
半分を納税することが求められます。
1年間の経費(消費税が上乗せされたもの)が
売上の半分以上になるのであれば
“原則課税”のままの方が有利です。
しかし、たいていの場合には
“簡易課税”を選択した方が
有利になります。
ここは自己判断自己責任もいいですが、
税理士にスポットで相談をして
アドバイスを求めることが賢明です。
では、届出様式や書き方を案内していきます。
<様式>
PDFファイルのダウンロードはこちらからできます。
<記入内容>
※留意事項
フリーランスで、かつ、それまでは消費税が
課税されていなかったという前提であれば、
「提出要件の確認」については
単独で1,000万円以上の仕入や設備の購入を
行っていなければ気にすることはありません。
「いいえ」にチェックをいれるだけでOKです。
最後に念押し
1つめの書類は必須ですが、
2つめの書類は任意です。
出さなくても問題はありませんが、
ひょっとしたら納税額が
高くなってしまうかもしれません。
その判断のための第一歩は
1,000万円を超えた年の消費税を
仮計算してみることです。
そして、来年以降の事業計画を
立てることでその判断の精度は
格段に向上します。
今後の事業計画を立てることの
本来の目的は未来の可視化と
変化への迅速な対応体制の確立ですが、
こうした副次的効果も看過できません。