在庫を処分して節税&資金増
売れない在庫
売れずに残った在庫品、
とんだ困りものです。
場所は占拠するし、
見るたびに「なんで
これ買ったのかな?」
と自分を責めたくも
なります。
たしかに、売れない在庫を
抱えたということは、
経営者の責任です。
しかし、泣き寝入りするには
まだ早いです。
こうした在庫は
お金に換えましょう。
そんなことできるのかって?
できるんです。
やり方は二つ。
「たたき売る」
「廃棄する」
難しいことではありません。
これを実行するだけです。
ようは、やるかやらないか。
キャッシュを生んで
前に進む経営者は
在庫を抱えた際には
ぜひご検討ください。
たたき売る
そもそも、在庫化した商品は
なぜ仕入れたのか?
それはキャッシュを
生みたいからです。
2,000円で仕入れた商品を
3,000円で販売すれば、
1,000円のキャッシュを
生みます。
(税金はいったん無視します)
一方、2,000円で仕入れた商品が
売れずに在庫で残ってしまうと、
2,000円をロスしただけです。
売れない在庫を抱える、とは、
この後者の状態です。
いわば、この時点で2,000円の
資金ロスが発生しているのです。
かつ、在庫を抱えるということは
会社に資産として残ることであり、
利益の計算上は損失として
カウントされていません。
会社はお金を失ったものの
それと引換にものを取得した。
だから損失ではない、という
理屈です。
つまり、在庫が増えるということは
キャッシュの流出はあるものの
利益が減らない=税金が減らない、
ことを意味します。
具体的な事例で見てみましょう。
1,000円で仕入れたものを
1,500円で販売すると
次のような図式になります。
ここで、1,000円で仕入れたもののうち、
800円分は販売できたが200円は
売れ残ったとします。
すると、このような構成になります。
収支計算をしてみると、
売上による1,200円の収入と
仕入による1,000円の支出で
トータル200円のプラスですね。
これに税金計算を加えると、
(税率を30%と仮定すると)
税金は120円です。
これを納付しなければ
いけませんので、
収支は80円のプラスまで
落ち込みます。
そう、在庫になった商品は
お金のロスにもかかわらず
利益をマイナスしないため、
実質的には税金負担が
重くなります。
この事例ですと、
資金増(200)の60%、
120円を納付します。
これはたいへんですね。
さて、この在庫200円について、
20円でたたき売ります。
200円で仕入れたものを
20円で売るなんて
自尊心がジャマを
するかもしれません。
しかし、売った方が得なんです。
実際に売ったとしますね。
在庫になるはずだった200円の商品を
20円で売ってしまうと、
売上は1,220円で
売上原価が1,000円。
つまり、利益は220円です。
たたき売ることによって
利益が減ってしまいましたね。
「これでどこが得やねん!」
ってなるかもしれませんが、
資金的にはけっこう得なんです。
収支計算で考えると、
売上からの収入が1,220円、
仕入での支出が1,000円、
トータルで220円のプラスです。
しかも、これに税金計算を加えます。
税金は利益に対してかかります。
利益が少なくなったことで、
税金も減少します。
利益220円の30%は66円。
これを納付した場合の収支は
154円ですね。
ね、資金はこっちの方が
増えるんです。
幾ばくかの売上代金による収入増加と、
在庫のたたき売りによる利益と税金の減少。
この結果、たたき売りした方が
資金は増えるんです。
ですので「決算セール」でも
「在庫一掃処分セール」でも
名目は何でもかまいません。
「セットで買ってくれたら10円!」
なんて形でもいいんです。
たたき売りましょう。
なお、たたき売りでは、
収入は望んではいけません。
元々売れない在庫ですから。
たたき売りのポイントは
売れることで在庫が経費に
カウントされる点です。
それによって利益が減り、
税負担が軽減され、
結果的に資金が残る。
この効果を狙って行います。
廃棄する
たたき売ろうとして
低価格で提示しても
誰も買ってくれない、
そんな在庫は
どう対処したら
いいでしょうか?
そうした在庫は
廃棄処分しましょう。
お金を出して仕入れたものを
廃棄したらまるまる損する?
いえ、資金的には得なんです。
そう、税金の減少効果が
あるからです。
では、具体的に見てみましょう。
さきほどと同じ事例に対して、
在庫品がどうしても売れないので
廃棄処分することとします。
すると、在庫品は廃棄損として
費用化され、利益を圧縮します。
この場合の収支計算は、
売上による1,200円の収入と
仕入による1,000円の支出で
トータル200円のプラスです。
ここに税金計算を加えます。
廃棄損のおかげで利益は200円。
これに30%だと税金は60円。
この60円を納付すると、
収支はトータルで
140円のプラスです。
在庫で抱え続けるよりも、
さっさと廃棄してしまった方が
会社に資金を生んでくれます。
この措置の一番の抵抗要因は
「ひょっとしたら正規の値段で
売れるかもしれない」という想い。
もちろん、その可能性もあるなら
しばし時間を置くことも必要かも
しれません。
しかし、大半の商品は在庫化したら
なかなか普通には販売できません。
だとしたら、さっさと損を確定させて
納税額を圧縮することで資金の残留を
図る方が賢明でしょう。