社宅制度の概要

代表者が生活する住宅が
賃貸物件である場合、
その家賃は当然のことながら
役員報酬から支払われます。

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その家賃の一部を会社が
負担してくれるとしたら
とても助かりますよね?

それが「社宅制度」です。

具体的には、
以下のような現状を

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次の形に変更します。

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会社を間に挟む形にします。

このとき、社長が会社に支払う社宅賃料を
会社が支払う物件家賃よりも安い対価に
設定していいルールになっています。

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これを利用することで、
会社の節税を図ったり、
代表者の手取りを増やせたり、
さまざまな効果を
生むことができます。

では、具体的に見ていきましょう。

具体的事例

設定

役員報酬が月額80万円の社長が
家賃15万円の部屋を借りて
生活していると仮定します。

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この月額80万円の報酬からは
社会保険料と所得税・住民税が
控除されます。

代表者の年齢:38歳
家族構成:妻(無職)、子3歳、子1歳
と仮定します。

社会保険料の控除額は96,101円。
(協会けんぽ。兵庫県。平成29年3月〜)
所得税は59,380円。
住民税は前年所得で決定するので
報酬によって変動しません。
仮に、月額30,000円とします。

すると、社長の手取額は、614,519円。

ここから150,000円の家賃を支払うと、
生活費は464,519円となります。

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給与明細という形にしてみると
こうなります。

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ここに社宅制度を適用してみます。

社宅の家賃設定を3万円とすると、
このようになります。

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会社は物件家賃15万円を支払い、
社宅賃料3万円を受け取ります。

この両社の差額12万円を
「福利厚生費」等の
科目で経費計上します。

会社の利益を減らしたくない場合

このときに、会社の利益を
減らしたくない状態であれば、
経費総額を増やすことは
得策ではありません。

この12万円分だけ、
代表者への報酬を
切り下げます。

そうすれば、会社としての
経費負担総額(80万円)は
変動しません。

この場合にどのようなメリットが
あるかというと、
社長個人の手取額の増加です。

役員報酬が12万円減額されると
その分だけ社会保険料と
源泉所得税が軽減されます。
(住民税は来年まで減りません)

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上述の設定で68万円だと、
社会保険料が90,568円
源泉所得税が38,430円
に減額されます。

住民税が30,000円とすると
521,002円。

ここから3万円の社宅家賃を支払うと、
生活費は491,002円となります。

毎月26,483円の増額となります。

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なお、605,000円以上の報酬になると
厚生年金の保険料は頭打ちとなり、
今回の事例では厚生年金の
軽減効果はありません。

健康保険料と源泉所得税のみの
軽減効果となります。

会社の節税を図りたい場合

逆に、会社の利益が潤沢にあって
会社の節税を図りたいということで
あれば、役員報酬を下げずに
そのまま社宅制度を導入します。

すると、会社経費は毎月12万円増加し、
社長の家賃支払額は12万円減少します。

その結果、会社の税金は軽減され、
社長の手元資金は毎月12万円増えます。

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社宅家賃の決め方

ここで気になるのが、社宅家賃の決定方法です。

社宅家賃の設定には
次のようなルール(基準)
があります。

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算式A、算式B、算式C、とは、

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通常は算式Aか算式Cのいずれかに
該当するでしょう。

この場合、算式Aになれば、
近年の固定資産評価の低水準からして
相当低い設定が可能になります。
20%をきる事例も出ています。

一方、床面積が一定以上の部屋を借りると
算式Cを使う必要が出てきます。

この場合には、物件家賃の50%を
会社負担とすることになります。

床面積の大きな部屋ですと、
家賃も高額となるでしょうから、
50%といっても
相当のインパクトが
あるでしょう。

いずれにせよ、自己負担している
賃貸家賃の50〜90%程度を
会社負担に切り替えることで
生まれるメリットは大きいですね。

まとめ

このように、社宅制度を活用することで
もたらされる効果は大きいです。

会社の利益を減らしたくない場合でも
個人の節税と手取額の増額を実現します。

会社の利益を減らして節税したい場合でも
同時に個人の手取額の増額を実現します。

社長が賃貸物件に住んでいるのであれば、
この手法を活用しない手はないです。

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