コストとは費用のことをいいます。これを2つに分けて考える話。
〜blog『relax&focus』より転載〜
イニシャルコストとランニングコスト
コスト(費用)の分け方は何種類かあります。
事業運営でもっとも注目すべきは
「変動費」と「固定費」という分け方。
あとは事業者の関心に合わせて
いわゆる「販売管理費」を
「人件費」と「その他管理費」という形で
分けることを望まれる方もいれば、
“地域別”や“事業内容別”に分けることを
望まれる方もいらっしゃいます。
とくに決まりやありません。
事業者にとって関心があるものを
知るために必要な分け方をするのが
(いってみれば)正解です。
で、事業を開始する際に
知っておくと便利な分け方が
今日紹介する分類方法です。
それは、「イニシャルコスト」と
「ランニングコスト」という分け方。
「イニシャル」とはinitialのこと。
initialとは、
“初めの”“最初の”という
意味の形容詞です。
つまり、イニシャルコストとは
“最初の費用”という意味。
そう、“初期費用”を意味します。
もう一つの「ランニングコスト」ですが、
「ランニング」とはrunningのこと。
runningとは、
“走る”“運転中の”“運用中の”という
意味の形容詞です。
そう、“運営費用”を意味します。
2つのコストの具体例
イニシャルコスト
“初期費用”の意味を持つと
紹介しました。
<飲食店なら>
改装、厨房器具、
什器備品、許可取得、
<運送店なら>
車両取得、事業所設置、
こういったものが
イニシャルコストです。
ランニングコスト
こちらは“運営費用”の意味を持ちます。
<飲食店なら>
仕入、人件費、光熱費、
消耗品、販売促進のチラシ、
<運送店なら>
ガソリン代、保険料、
人件費、メンテナンス、
こういったものが
ランニングコストです。
見切りのポイント
想定している事業が
上手くいくかどうか、
または実際に運営している事業を
このまま継続していくかどうか、
こうした見切りは経営者がやるべき、
経営者にしかできない仕事です。
そのときにラインをどこで引くかは
それぞれの経営者によって異なりますが、
儲かっている会社の経営者に共通するのは
「見切りライン」を事前に想定されていること。
つまり、「こうなったらやめよう」
「こうならないならやめておこう」というのが
言語化されているかどうかは別として
お話ししていると明確に意識されています。
A社長は本業で堅調な利益をあげながら
別業種へも積極的にチャレンジされています。
このA社長は「イニシャルは無視していい。
ランニングコストが回収できるなら継続、
ランニングコストだけで赤字が続くなら撤退」
というブレない軸を持ってらっしゃいます。
その結果、いくつかの事業については
新たな柱として太くなる可能性のあるものが
育ってきています。
また、B社長も本業で堅調な利益をあげながら
社会的意義のある取り組みをすすめています。
このB社長は「イニシャルコストは3年で回収したい。
なのでイニシャルコストを36ヶ月に分割して
毎月の損益を見ていきたい」との要望がありました。
ですので、月次報告においては
耐用年数を無視したレポートを
プラスしています。
法定耐用年数という概念は
B社長の“採算管理”の
考え方と合わないので、
法定耐用年数はあくまでも
決算書作成上の形式的なもの
として扱っていますし、
そのことはB社長にも認識して
いただいています。
ランニングコストの細分化
コストの分け方として
「イニシャルとランニング」と
いう分類をしたら、
他の分け方と併用できない
わけではありません。
実際に、さきほどのA社長への報告も
B社長への報告も、ランニングコストは
「変動費」と「固定費」にさらに分けて
報告しています。
やはり、事業の実情を知るためには
「運営費用」という一括りで分けるのは
オススメできません。
売上と連動性のある「変動費」
連動性のない「固定費」と分類は
分析の出発地点ともいえます。
こうした分析も積極的に行うならば
最初は税理士などからのサポートを
受けるのが正解でしょう。
ただし、それが(毎月課金が発生する)
顧問契約である必要はありません。
個別コンサルという形で、
「聞きたいときに」
「聞きたいことを」
相談して、その分を支払う。
そんな柔軟な依頼・相談スタイルも
全然アリだと思いますし、
そうしたフラットな関係を構築したいと
考えている税理士も(少数派かも
しれませんが)探せば見つかります。
かくいうわたしもその一人です。