本来の目的のためなら有益な商品もあります。
〜blog『relax&focus』より転載〜
節税には無力
企業向けの多くの生命保険が
今は2分の1損金といって
半額が経費になるという
類いのものです。
100万円が経費になって
100万円は積立となる
こういった保険商品です。
これを節税のために利用することが
賢明かどうかということは
キャッシュの流れを見れば
一目瞭然です。
100万円が経費になる
35万円税金が安くなる
35万円の税金軽減のために
200万円を支払うんです。
そして、この200万円は
いずれ返ってくるといいますが、
時期によって大きく元本を
割れ込みますし、最も多く
返ってくるときにも約8割。
160万円になってしまいます。
そして、160万円のうち
60万円は課税対象、
税金がかかります。
想定外の事態でお金が必要になり、
返戻金がピークを迎える前に
解約したりすると120万円とかしか
返ってこないこともリスクです。
これがお得なわけありません。
だったら、35万円税金を支払って
165万円を企業内に残して
必要なものに投資する方が
賢明な判断です。
投資するものがなければ
残ったお金を積み立てて
おけばいいんです。
そうすれば、このお金は
いつでも活用できます。
退職金との関係
役員の退職金を積み立てる目的で
生命保険を利用するというものも
常套手段としてあります。
わからなくはありません。
本来なら数十年先に発生する
退職金という経費(の一部)を
先食いできることになります。
でもやっぱり、かなりのキャッシュが
拘束されることは看過できません。
退職金支払いのための積立は
定期積金などで対応するのが
リスクヘッジの観点からの正解であり、
生命保険の活用はオススメできません。
保障という効果は見逃せない
ただし、企業にとって
生命保険がまったくの
無意味かというと
そうとは言い切れません、
代表者や役員に
不測の事態が生じたときに
数ヶ月分の運転資金や
借入返済のための原資として
保険金が補てんされることは
とてもありがたいことです。
残された家族や従業員を
守るという意味合いから
加入されることには
意味があります。
最後に
生命保険の中には
外貨建(ドル建など)のもので
単純な返戻率が100%を
超えるものもあります。
単純返戻率が100%を
超えるということは
運用益が発生すると
いうことです。
為替変動のリスクは
ついてまわりますが、
資産運用の一つとして
選択される方も
いらっしゃいます。
それも一手だと思いますし、
わたしもドル建の保険には
加入しています。
数年後、あるいは数十年後に
解約を迎えたときに
どういったことが生じるのか、
つまり出口を見ることが
大切になります。
少なくとも、
入り口(保険料支払時)の
ことばかりを並び立てて
出口(保険金受取、解約時)の
ことをないがしろにする人から
生命保険契約を勧められたときは
要注意です。
節税効果を高らかに叫ぶのに
税制改正のリスクについて
触れない人も要注意です。
生命保険を活用した
節税策に税制改正で
フタをするという流れは
過去に事実としてあります。
出口まできちんと検討してから
リスクとリターンに納得して
加入するようにしましょう。