10年超保有していた土地を買い換えたときにはこの規定が使えるかも。

〜blog『relax&focus』より転載〜

土地を売って売却益が出たら課税

法人が所有する土地を売却した場合、
帳簿価額(購入金額)よりも高い値段で
売れたら売却益が発生します。

この売却益は法人の利益(儲け)です。

法人を課税対象とする法人税等は
法人の利益に対して一定率を乗じて
算定されます。

したがって、売却益が発生すれば、
その売却益に一定率を乗じた税金を
納付することとなります。

これが原則的な取扱いです。

これが不合理な場合があります。

たとえば、事業用の土地を売却して
同一用途で利用する土地を取得しようと
したとします。

つまり、買換えです。

既存の土地を売却する行為と
新たに土地を取得する行為のセットです。

このときに、既存の土地が大昔に取得したもので、
現在の土地の値段は大きく上昇しているとします。

既存の土地を売却する行為で
多額の売却益が生じます。

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会社としては、この売却で得た資金で
新たに土地を購入したいのですが、
この多額の売却益に課税されると
売却で得たお金の一部は納税で
手元に残らず、そのお金をフルに
新規の土地に投入することが
できなくなります。

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結果として同一用途の土地の取得が
困難になる可能性があります。

そこで、固定資産の買い換えによって
生じる売却益については直ちに課税せず、
将来に課税を先延ばしにする、繰り延べる
制度を設けています。

これを『圧縮記帳』といいます。

売却益が生じたときに課税するのではなく、
もっとあとで課税しますという話です。

売却益が課税されない“圧縮記帳”

“圧縮記帳”にはいろんなケースが
想定されていますが、ここでは、
同一(近隣)地域において土地を
買い換えた場合の特例についてのみ
取り上げていきます。

【売却資産の要件】
国内にある土地、建物、構築物で、その法人により
取得された日から引き続き所有されていたこれらの
資産のうち所有期間が10年を超えるもの

【取得資産の要件】
国内にある土地等(事務所等の敷地の用に供するもの、
または、駐車場の用に供するもので300㎡以上のもの)、
建物もしくは構築物又は国内にある鉄道事業の用に
供される車両運搬具のうち政令で定めるもの

土地に限定して要約すると

・売却する土地は10年超保有していること
・購入する土地は300㎡以上であること
・購入する土地は事務所等の敷地または駐車場として利用すること

です。

これらを満たす場合には、
買替えによって生じた売却益の80%
(地域によって75%、70%)について
その課税を遅らせることができます。

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これによって、買換えの際の
資金繰りが劇的に改善されます。

いつまで課税されない?

で、気になるのが“課税の繰延べ”
いわゆる先延ばしという点です。

いつ課税されるのか、気になるところです。

土地の買換えを行った場合、
その買換えで生じた売却益のうち
繰り延べられた部分についての課税は
新しく取得した土地を売却するときまで
先延ばしです。

仕組みとしては、

売却益のうち80%部分は課税対象外

その分、新しい土地の取得価額が下げられる

新しい土地を売却する際に本来の売却益に今回の先延ばしが上乗せ

という形です。

具体的な数字で表すと次のとおり。

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土地の値段がべらぼうに下がっていなければ
次回の売却時には多額の売却益が待ち構えています。

事業用の土地なんてものは
そうそう売却することも
ないでしょうけど。