消費税への提言をするためにまずは仕組みのおさらいから。
〜blog『relax&focus』より転載〜
税の基本
税は、国(地方自治体)が
権限に基づき徴収するものです。
であれば、徴収される側(納税者)にとって
理解しやすいものでなければなりませんし、
そうなるように努める義務が課税権者側には
存在します。
つまり、納税者にとってわかりやすい制度で
公平性を保つことが大原則です。
そのうえで政策的配慮が成り立ちます。
政策的配慮が先走り、
仕組みが複雑化することは
本末転倒です。(←今まさにここ)
消費税の仕組み
消費税は間接税
消費税については
「間接税」という形を
採っています。
所得税や法人税、相続税のように
税を負担する人が直接国(税務署)に
納めるのが「直接税」です。
一方、消費税に代表される「間接税」は
税の負担者が直接国(税務署)に
納めることはありません。
100万円の買い物をした人が
わざわざ税務署に足を運んで
8万円を納めに来るなんていう仕組みが
成り立つはずがないことは明らかです。
そこで、モノやサービスを提供した事業者が
負担者である消費者から消費税を預かって、
それを国(税務署)に納めるという形を
採用しています。
ですので、負担者は消費者ですが
納税者は事業者というわけです。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.22.09.png スクリーンショット 2018 10 17 9 22 09](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/699fe9356f36abb1d2b8a2175df1fc94.png)
多段階累積控除
この事業者における消費税の納税ですが、
お客さんから預かった消費税を
そのまま納付するわけではありません。
それだと、国が税金を二重三重で
徴収することになるおそれがあります。
どういうことか、具体的な事例で
順をおって見ていきます。
【生産者 → 卸売業者 → 小売業者 → 消費者】
とモノが流れていくとします。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.22.18.png スクリーンショット 2018 10 17 9 22 18](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/f9040a8d120fe5da74a3b442288f1b5d.png)
これらの取引において、
それぞれ消費税が
上乗せされています。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.22.28.png スクリーンショット 2018 10 17 9 22 28](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/e26e19034ffbe8c6cf4746b73fec0788.png)
【生産者 → 卸売業者】
10万円(税抜)で取引
卸売業者:8,000円の消費税を支払う
【卸売業者 → 小売業者】
20万円(税抜)で取引
小売業者:16,000円の消費税を支払う
【小売業者 → 消費者】
30万円(税抜)で取引
消費者 :24,000円の消費税を支払う
このようになります。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.22.41.png スクリーンショット 2018 10 17 9 22 41](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/438dc766154dbe91b4ba0e8d37a85af4.png)
モノを消費するのは最後の『消費者』です。
国が課税したいのはこの『消費者』で
税額は24,000円です。
生産者、卸売業者、小売業者は
流通させただけで自身が消費して
いるわけではないので、
この人たちが自己負担することは
ありません。
ただし、これらの事業者は
“預かった消費税”を納める
義務があります。
ここで、それぞれの事業者が
“預かった消費税”をそのまま
納めるとしましょう。
すると、
卸売業者:16,000円
生産者 : 8,000円
合計で48,000円の消費税が
国に納められてしまいます。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.22.49.png スクリーンショット 2018 10 17 9 22 49](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/657ac04caf7075df56d551371290b64e.png)
消費者が負担した24,000円が
国に届くのはよしとして、
それ以外の24,000円はいったい
どこから出てきたのか。
それは、物流過程で発生しています。
販売相手(小売業者)が
それをさらに販売するか
自身で消費するかは
卸売業者からは
見極められないため、
モノやサービスを提供する際には
消費税を預かることが必要です。
しかし、その販売先(小売業者)が
さらに消費者に販売した場合には
小売業者も消費者も消費税を
購入元に支払うことになります。
これをすべて国に納めると
モノやサービスの消費に着目して
課税する消費税が、それ以外の
流通段階でも課税していることに
なります。
要は、消費者が負担した税額以上の金額を
国が徴収することになります。
そして、それは“消費”していない
流通間の事業者の負担と
なってしまいます。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.24.33.png スクリーンショット 2018 10 17 9 24 33](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/5a6267ac7abd2e57a155881a2745f9c2.png)
これを防ぐために導入されているのが
「多段階累積控除」という仕組みです。
この仕組みは
預かった消費税をそのまま納めるのではなく、
仕入(購入)時に支払った消費税があるなら
それを差し引いて納めてください
というもの。
これによって、先ほどの例であれば、
【小売業者】
支払った消費税:16,000円
納付する消費税: 8,000円
【卸売業者】
支払った消費税: 8,000円
納付する消費税: 8,000円
【生産者】
支払った消費税: 0円
納付する消費税: 8,000円
となり、3事業者合計で24,000円の
消費税を納税することとなります。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.24.41.png スクリーンショット 2018 10 17 9 24 41](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/bacc4aa809f765652ec3648a48bac0e6.png)
これによって、消費者が負担した24,000円が
正しく国に届けられるという仕組みです。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.24.48.png スクリーンショット 2018 10 17 9 24 48](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/21f2d452be98d1dddb6f061013f6b26c.png)
この多段階累積控除の目的は
“二重課税の排除”です。
そのために、“支払った消費税”を
控除するという形を採っています。
![スクリーンショット 2018-10-17 9.24.56.png スクリーンショット 2018 10 17 9 24 56](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2018/10/7deb6b8b2239796c96069c7e705cbf55.png)
現行消費税の問題点
わたしが考える現行(将来の)消費税の
問題点は以下のとおりです。
・納税者が負担した消費税が国に納められていない
・“非課税”によって支払った消費税が控除できない
・インボイス方式の導入
・軽減税率適用による現場の混乱
・金の売買が課税取引
これらを解決するためにはどうすればいいか、
次回において私案を掲げていきます。